ネイティブアドの本質とは、広告クリエイティブのユーザー本位化である
こんにちは、川上 ( @okyaaaann )です。
基本、Twitterでは日常をつぶやいているのですが、最近は即席キャッチコピー作成にハマってます。脳と言葉の、良いトレーニング。
さて、みなさんは、近年声高に叫ばれている「ネイティブアド」なるものに、どのような理解やイメージをもたれているでしょうか。もうおなかいっぱい? わかるーその気持ちわかりすぎるー。でも、実はちょこちょこみんな勘違いしてるのも事実。
正直、業界やポジションによってきっぱりと認識がわかれると私は思っております。特に、Webメディア側と、Web広告側*とで。今回は、両立場から見たネイティブアドの認識の整理と、ネイティブアドの本質に触れてみたいと思います。
*本エントリーにおけるWeb広告側とは、ネット広告代理店や、アドネットワーク/DSPなどの媒体社を指すこととします。
目次
Webメディア側から見た「ネイティブアド」
Web広告側から見た「ネイティブアド」
両者の認識の違い
なぜ、既存の広告と比べると、ネイティブアドは効果が良いのか
ネイティブアドの本質
おわりに
Webメディア側から見た「ネイティブアド」
Webメディアにたずさわる方からすれば、ネイティブアドというのは、「普段自分たちが出している編集記事の体をした記事広告」という認識ではないかと思います。
これを少し言い換えると、「いつもウチのメディアを読んでくれている人たちの体験をぶち壊さないよう、メディアとの親和性を保ちつつ編集されたコンテンツ」というものだと思います。さらに違う言い方をすれば、「自社メディアらしさをもった広告コンテンツ」という具合なんじゃないでしょうか。
私は、広告記事やPR記事だからといってそのコンテンツを読まない、ということはありません。ヨッピーさんやARuFaさん、柿次郎さんやnarumiさんなど、記事がめちゃくちゃおもしろい上に、紹介された場所にはマジで行きたくなるような記事を量産されています。
ただの提灯記事にはならず、きちんと「らしさ」があった上で、企業の宣伝もしっかり盛り込まれている。いち読者として普通に楽しめるコンテンツに仕上がっているものこそ、ネイティブアドと言われるものではないでしょうか。
Web広告側から見た「ネイティブアド」
では、次はWeb広告側から見たネイティブアドです。
こちらを簡潔に言うと、「メディア/アプリのフォーマットに沿った運用型広告」という認識ではないでしょうか。
個人的には、ネイティブを「なじんだ」という訳し方が気に入らないので、フォーマットに沿ったという表現を用いたいと思います。あしからず。
ネイティブアドにも色々な種類がありますが、それを辞書的に説明するのは分かり辛いので、今回は具体例のみでイメージしてもらえればと思います。
たとえば、東洋経済オンラインやBuzzFeedのそのまま記事出稿する形、Facebook/Twitter/InstgramなどのSNSに運用型としてフィードに流していくタイプ、あるいは、各Webメディアの「あなたにオススメの記事はコチラ」みたいな枠(ネイティブアドの中でも、レコメンドウィジェットと言われるもの)などです。
つまり、Web広告側からすると、ネイティブアドといっても様々なものがあることがわかります。
両者の認識の違い
では、ここらで両者の捉え方をまとめておきましょう。ネイティブアドとは、
Webメディア側:自社メディアで出すコンテンツ
Web広告側:各チャネルごとに最適化されたコンテンツ/配信手法
となります。
つまり、立場の違いによって、ネイティブアドに対する捉え方もレイヤーが異なってくるということです。ネイティブアドネイティブアドと言われていますが、時々意見が食い違ってしまうのは、実はこういうところに擦れ違いがあるからではないでしょうか。
これは少々ウザったい例にはなりますが、たとえば、代理店がとあるキャンペーンで運用型広告を利用する場合、どこかのメディア/クリエイターが作成したネイティブアドを、Facebookのインフィード型広告(ネイティブアドの1つ)で運用しつつ、どこかのレコメンドウィジェット型ネイティブアドを使って接続されているWebメディアに流していく、なんてこともありえるわけです。まぁなんてわかりづらいこと。
ただ、上記の例のように、立場によって言葉の定義や捉え方が変わってくるため、ネイティブアドそのものをふわっと、そして捉えづらくさせているのではないでしょうか。
なぜ、既存の広告と比べると、ネイティブアドは効果が良いのか
簡潔に言ってしまえば、今までの広告手法よりかは「まだ」ユーザーのためを考えているからです。
違う言い方をすれば、ユーザーが普段触れているメディアやアプリ、そのそれぞれのフォーマットに即しているためではないでしょうか。
まず、テレビCMを例にあげてみます。ドラマや映画など、めちゃくちゃ良い場面で流れをぶった切るかのごとくCMが入ってきます。これを喜ぶ視聴者はいるのでしょうか。昔はよく
「CMはトイレタイムだ!」
なんて思っていましたが、視聴者側がコントロール出来ないというのはなかなかストレスのあるものです。
次に、Webのバナー広告を例にあげてみます。Yahoo!のトップページでも、みなさんが普段見ているWebメディア/ブログでもなんでも良いのですが、バナー広告が表示されて、
「やったー!バナー広告だ!うれしー!」
みたいな人はいるのでしょうか。いるのであれば、それはそれで逆に会ってみたいです。
話が逸れました。
つまり、いままでの広告手法は、どちらかというと広告を発信する側の都合を第一に考えられており、視聴者/読者/ユーザーのことは二の次だったのではないかと思います。
そこに、ユーザーが普段見ている/使っているメディアやアプリに、それぞれのフォーマットに沿った広告クリエイティブを出していく手法がネイティブアドそのものです。
既存の広告手法より、ユーザーのことをさらに考えた広告手法であるネイティブアドが効果が高いのは、もはや必然といえるのではないでしょうか
ネイティブアドの本質
上述のまとめにはなりますが、では、ネイティブアドの本質とはいったいなんなのでしょうか。
私は、それをユーザー本位である、ということではないかと考えます。
あくまで記事を読んだ読者がどう受け取るか、そもそもこれは読者にとっておもしろいのか、普段自分たちのメディアを見てくれている人たちにとってノイズにならないか、といったところが重要視されています。
つまり、ネイティブアドとは、広告クリエイティブにおける力点が、企業/メディア/代理店からユーザー側に移った、もしくは移り始めたモノなのではないでしょうか。
ひいては、広告クリエイティブの変革期ではないかとも考えられるのですが、それに関してはまた別のお話になってくるので、詳しくはまた別のエントリーで触れたいと思います。
おわりに
言いたいことや伝えたいことは盛り込む、ただし、その入り口/フォーマット/中身はユーザーを第一とする。
いままで企業または代理店本位だった広告クリエイティブが、ユーザー本位のものへと変化しているという事実は、非常に重要なターニングポイントなんじゃないかとも思っています。
私はWebメディア・Web広告の両サイドにたずさわっていることもあり、なんとか複数の視点から見た意見を盛り込んでみました。
足りない部分も多々あると思うので、もしちょこっとでも気になる点がある方はぜひ一緒にお話したいです。
ほなまた。
*写真は修学院離宮(京都)です。