売上UP・ファン化を促したいなら、理解しておくべきマーケティングの「2」と「60」
マーケティング=Marketing
いま、ほとんどの企業で重要視されているであろうマーケティングなる概念ですが、みなさんはマーケティングがどのような変遷を辿り形を変え続け、また適用可能な対象がそれぞれ異なっているということをご存じでしょうか?
正直、曖昧な人が多いか、そもそもそんなもん知らないよ、という人もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな人のために、このエントリーではマーケティング60年の歴史とその変遷について触れていきたいと思います。
先に要点だけあげておきますと、
1:適用範囲の違い
2:市場、ではなく、心
の2点がキーです。
スタート地点
マーケティングは過去60年間にわたりビジネスの世界における最も魅力的なテーマのひとつとなってきました。なぜかといいますと、そりゃマーケティングを意識することが効率よく利益を創出することにつながるからだろ、と思っております。そして、マーケティングは製品管理・顧客管理・ブランド管理という三つの大きな柱を軸に発展してきたワケですが、
・50〜60年代は製品管理中心
・70〜80年代は顧客管理中心
・90〜2000年代はブランド管理中心
という順番でその柱は形成されてきました。まず始まりは第二次世界大戦後、というワケですね。 ニールボーデンが50年代にマーケティングミックスという言葉を生み出し、ジェローム・マッカーシーが60年代に4Pという枠組みを打ち出して以来、マーケティングのコンセプトは変化する環境に適応しし続けてきました。
戦後間もないアメリカ経済の主役は製造業部門であり、60年代に入ってもこの部門は拡大の一途を辿ります。大量生産大量消費の時代であれば安く早く多くの製品を作ればどんどん売れるのだから、単純にコスト削減や生産性・効率の向上を考える製品管理に焦点を当てたマーケティングコンセプトが発展したのは当然だったと言えるでしょう。そう、マーケティングのスタートは製造部門なのです。そしてここがマーケティング1.0の出発点です。
転換期
当初マーケティングは生産を支える一つの機能でしかなく、製品に対する需要を生み出すことだけしか求められていなかったため、価格流通プロモーションといった戦術的指針しか求められていませんでした。しかし、70年代の石油ショックによるスタグフレーションの影響で事態は一変します。 経済成長はほとんどアジアの途上国に移り、大量生産大量消費の時代は終焉を告げ、需要を生み出すのがかつてより難しくなり、もはや4Pだけではやっていけなくなってしまったのです。
消費者は購買に対して賢い判断を下すようになり、明確なポジショニングを持たない多くの製品やブランドが姿を消しました。環境が変わったことでマーケティングの専門家たちはより深く考え、よりよいコンセプトを生み出さざるを得なくなってしまったのです。 このような景気悪化の中でマーケティングはついに重要な地位を獲得します。マーケティングは100%戦術的な次元からより戦略的な次元に進化し、効果的な需要創出のためにはあらゆるマーケティング活動で「製品」に変えて「顧客」を中心に切り替えました。
つまり、STPなどの戦略を含む顧客管理の考え方が導入されたのです。 この時点でマーケティングは戦術的性格なものから戦略的性格なものへとシフトし、それ以来4Pの確率よりもSTPの確率が一貫して重視されてきました。この戦略的マーケティングモデルの導入が近代マーケティングの誕生を告げるものであり、ここがマーケティング2.0の出発点です。
ここまででわかるコト
この時点ではっきりとわかることとはいったいなんでしょうか。それはマーケティングには製品や顧客に向けて打ち出された概念が別々に存在しているということです。まずこの部分を多くの人が区別しきれていないのではないでしょうか。まずここまでの流れで
・製品(あるいはサービス)向けのマーケティング手法が生まれた
・次に顧客向けのマーケティング手法が生まれた
・それらは同じマーケティングという名を冠してはいるが、適用範囲がまるで違う
ということを理解できれば十分です。
進展期
90年代に入るとパーソナルコンピュータとインターネットが登場し、その性能と処理速度は加速度的に上昇していきます。コンピュータのネットワーク化は人のネットワーク化も促し、コンピュータによって人と情報の交流が拡大しました。デジタルテクノロジーは個人の脳の処理能力と接触範囲の拡張であると私は考えています。 情報はいつでもどこでも手に入れられるようになり、人々は十分な情報を持つようになったのではないでしょうか。不特定多数との双方向のコミュニケーションにより情報の非対称性は解消されつつあり、もはや企業から発せられるリアリティの欠如した情報だけでは消費者から十分な信用を得られないようになった感じられます。
これらの変化に対応するために、世界のマーケッターはマーケティングの概念を拡大し人間の感情に焦点を当て始めます。もはや需要を生み出すためにはいま自分たちが仕掛けるセグメンテーションした市場の中で、どのようなポジションに立ち、差別化された製品・サービスを提供するかだけ考えていればいい時代は過ぎ去ったといえます。理性ある顧客に利便性を訴えかけるだけでは不十分となり、顧客の心情に訴えかけることが必要となってきたのです。そのため、90年代から2000年代にかけて登場したマーケティングコンセプトのそのほとんどがブランド管理の考え方を反映したものでした。
そう、もはや市場を元に人間の理性を見るのではなく、 人間の心を中心に据えその機微を探ることが重要視されてきたのです。
現在
現在、モノの購買に置ける情報の信頼性は以下のように変化したなと思います。
メーカーからの情報<<<他社サービス・他消費者からの情報
これは情報における関係性が、従来通りの縦の関係(企業と消費者との関係)から横の関係(外部サービスや消費者同士の関係)が重視され、消費者は企業より他の消費者からの情報を信頼し始めているということです。これはみなさんも身に覚えがあるのではないでしょうか。Amazon、価格.com、食べログなど、そこで扱っている商品を実際に作っているメーカーの情報よりも、顔も知らない他人からの情報を信用して購買に至ったことがあるのではないでしょうか(それが真実かどうか定かではないにも関わらず)。
だからこそ、企業から発信される情報を鵜呑みにしてモノを買う、といった動きは少なくなりつつあります。じゃあ「どうすればウチの製品を選んでもらうんだ」というと、市場の中で製品・サービスをセグメントやらポジショニングして満足するのではなく、いかにして自社製品・サービスを「消費者の心のなかに住まわせる」ことが重要となってきているワケですね。企業が勝手に想像している世界ではなく、現実にモノを買っている消費者をもっともっと見よう、というワケなのでした。
だからこそ、このエントリーのタイトルの2つのポイントとは、
1:適用範囲の違い
2:市場、ではなく、心
ということでした。
じゃあ今まさに対応出来る手段や手法とはなんなのか、というのはまた別の機会ということで今回は締めさせていただきます。My字数制限ぶっちぎりで超えてしまってましたわ。
ほなまた。
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